その名のとおり、とじ・はぎのないシームレスのセーターはシンプルな工程で完成します。
今回は、糸からセーターになるまでのドキュメントをお届けします。
「パターン・糸・輪針」必要なのはこの3つ
セーターを編む、となると何か特別な道具が必要?と思うかもしれません。
しかし「シームレスで編むメリヤスセーター」に必要なものは、「パターン・糸・輪針」基本的にこの3つです。
このほかに、スティッチマーカーやとじ針も使います。
今回使用した糸は、以前スタッフが購入していたBaa ram ewe「Dovestone aran」のナチュラルカラー。
素材の確保がむつかしいようで、今回は限られた色のみ入荷しています。
糸端を手にするだけで、丁寧につくられたことが一目瞭然のウール糸です。
▲軽めの撚りでやわらかな肌ざわりにうっとりです
まずはゲージをチェック
ゲージとは、通常10cm×10cmの中にある目の密度のこと。
パターンにあるゲージは、作品がその密度で編まれているという基準になるものです。
このゲージが自分の編地と違ってくると、大きすぎ・小さすぎなど着用できないものができてしまう、糸の分量が大幅に過不足するなど、不都合が出てきてしまいます。
特にサイズ感を大事にしたいウエアや手袋、靴下などは、ゲージをきちんと測りましょう。
ゲージが合わなかったら、針の号数を変更して調節します。
ゲージについてはムーリットの書籍「これが編みたい」でも、くわしく解説しています。
▲水通しをして乾かしてからゲージを測りました。よさそうです
ぐるぐる編み進めていきます
ゲージが確認できたら、いよいよスタートです。
まずは前後身頃を一気に輪で編みます。
輪編みのメリヤス編み、なので動作はひたすら表編み。
リズムをつかんでどんどん編み進めていきます。
▲1玉分編み終えたところ。端で新しい糸をつけました
減目などの操作をした段にマーカーを入れておくと、確認作業がしやすくなります。
今回は慎重に、減目するたびにマーカーをいれてみました。
こちらは、お好みで・・・
▲ゴールド/ブラックのマーカーで目印を区別してみました
指定の段まで編んだら、身頃は休めておきます。
ムーリットオリジナル輪針セットの付け替え式の輪針を使ったので、コードはそのままに休めておきました。
袖は同じものを2枚編みます
身頃と同様に、袖も輪で編み進めます。
こちらも、増し目などの操作をした段にマーカーをいれてみました。
身頃よりも目数が少ないので、すぐに編み終わったような気がします。
指定の段数まで編んだら、もう1枚同じものを編んでいきます。
▲身頃と袖2枚、パーツが揃いました
すべてのパーツをつなげます
ここからは、ネックに向かって身頃と袖をひとつの輪針につなげて編みます。
ジョイント段の編み方は、ちょっぴり特殊。
パターンには写真入りでくわしく手順を説明しています。
パーツがつながったら、身頃側・袖側で減目をしながら、編み進めます。
そしてネックラインの終盤には引き返し編みが登場。
引き返し編みの編み方は、書籍「ヴィンテージパターンブック」でも解説しています。
引き返し編みに抵抗がなくなると、プロジェクトの選択肢もぐっと広がりますね。
ネックのねじり目のゴム編みまで編めました!
▲1本の毛糸を編みつないで、セーターになりました
あと一息です
編みあがったらすぐに着たいところですが、まずは糸始末。
糸端を編地ぎりぎりでカットしてしまったり、結んで切ってしまったりすると、そこから目がほどけてしまうことに。
とじ針をつかって、すべての糸端を編地の裏に抜けないようにくぐらせておきます。
最後に水通しをして、寸法どおりに形を整えて乾かしたら完成です。
水通しをして水分をゆきわたらせてから形を整えて乾かすことで、糸についた汚れや油分が(あれば)きれいに落ちたり、目が揃ったり多少のゆがみが矯正できます。
ついに完成です!
シンプルに糸の良さを楽しめる一着が完成しました。
▲みんなが編んだメリヤスセーターたち
色が変わると、印象もがらりと変わる、糸選びもたのしいデザインです。
10月13日(木)までセミオーダーを承ります(終了いたしました)
ご注文いただいてから、ひとつひとつ手作業で製作したセーターの完成品をお届けします。
今回の使用糸は、ツイード調のプリントとソリッドカラーが揃うイギリスの「Croft」をセレクト。
しなやかながら強さもあるウール糸は、気負わずどんどん着たくなるセーターになります。
お店のイベント「リネンとニットのオーダー会」についてはこちらから
自分で編んでもよし、お好きなカラーでセミオーダーしてもよし。
「シームレスで編むメリヤスセーター」で、ハンドニットの温もりにつつまれてみませんか?